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今日のアフリカ

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ブルキナファソとフランスの微妙な関係

2023/01/15/Sun

 1月10日、仏語圏諸国・国際パートナーシップ開発担当相クリズラ・ザシャロプルが、ワガドゥグを訪問し、政府トップのイブラヒム・トラオレと会談した。ザシャロプルは外務大臣付の閣僚で、特に開発問題を担当している。会談後、「フランスは何も押しつけることはしない」と融和姿勢を強調した(11日付ルモンド)。
 この訪問は、フランス・ブルキナファソ関係が緊張するなかで行われた。1月2日、フランス外務省は、ブルキナファソ側から在ワガドゥグのアラド(Luc Hallade)大使の交代を求める要求が出ていることを認めた。昨年9月30日のクーデタ以降、ブルキナファソの新政権は、ジハディストとの戦いのためにロシアに接近している。12月には、同国首相がロシアを訪問し、外務副大臣と会談した。
 同じ12月、同国では、フランスの公共ラジオ(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)を放送停止にしたり(3日)、国連コーディネーターに対して国外退去を要求したり(23日)と、フランスや西側諸国との緊張が高まっていた。12月13~15日に開かれた米国・アフリカサミットでガーナのナナ・アクフォ=アド大統領が「ブルキナファソがロシアの民間軍事会社ワグネルを派遣するよう契約を結んだ」と発言し、これに反発したブルキナファソが在ガーナ大使の召還に踏み切るという事件もあった(12月16日付ルモンド)。
 こうした中でのフランス閣僚の訪問である。フランスとしては、ブルキナファソをマリのようにはしたくないという意図は明確なはずだ。ブルキナファソとしても、ロシアなど他国とフランスとの関係を天秤にかけ、有利な条件を引き出したいだろう。しばらくは両国間で、微妙なやりとりが続くことになろう。
(武内進一)