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今日のアフリカ

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エスカレートするコンゴ、ルワンダ間の緊張

2022/11/05/Sat

 3日、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領は、国営テレビで演説し、ルワンダの拡張主義を非難するとともに、若者に対して自警団を作るよう呼びかけた(4日付ルモンド)。10月末以来攻勢を強め、東部で制圧地域を広げているM23の動きに対して、コンゴはルワンダへの非難を強めている。29日には、在キンシャサ・ルワンダ大使の追放を決定した。これに対してルワンダは、M23への支援を強く否定し続け、コンゴ側の責任を強調する従来の主張を繰り返している。
 アフリカ域内では、コンゴ東部情勢への対応が具体化している。10月31日には、アフリカ連合が同地域の情勢への深刻な懸念を発表した。東アフリカ共同体(EAC)は、9月にコンゴ東部への平和維持部隊の展開を開始していたが、11月2日にはケニアが派兵を発表した。ケニアに先んじて、ウガンダ、ブルンジ、南スーダンが部隊を展開している。
 とはいえ、EACの派兵が事態の改善に寄与する可能性は高くない。ウガンダやブルンジの派兵はコンゴ領内で活動する自国の反政府武装勢力を掃討することが目的だし、その他の国々にしても、必ずしも現在問題になっているM23を対象とした派兵ではない。
 10月末以来、M23の攻勢を受けて、コンゴ東部では数万人が避難を余儀なくされている。また、主要都市では反ルワンダ、反ウガンダのデモが繰り返されている。チセケディは演説のなかで「排外主義に陥ってはならない」と述べたと報じられているが、自警団の活動はローカルレベルの暴力激化を招きかねない点で懸念される。
(武内進一)