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今日のアフリカ

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ウガンダ「預言者」の逮捕

2022/09/04/Sun

近年、アフリカのペンテコステ・カリスマ系教会の指導者が詐欺や暴力などで起訴されるニュースは珍しくない。昨日は、ウガンダで「預言者」を名乗る牧師が、暴行、傷害、人身売買の罪などで起訴されたことが報じられた(BBC 9月3日)。ホイマ・エンパワーメント国際教会の牧師キントゥ・デニス(Kintu Dennis)だ。彼が自分の教会のメンバーを鞭打つ姿は、オンライン動画で広く流通した。今週水曜日、この映像に対する苦情を受けて、警察はこの42歳の牧師を他の教会員と共に逮捕したとされる。

キリスト教徒が人口の約80%を占めるとされるウガンダでの教会を巡る悲劇やスキャンダルは、今年4月に公開されたBBCドキュメンタリー「Faith Under Fire」でも詳しく報じられている。ここでは、2000年に500人以上の犠牲者を出した終末論的宗教運動や、神を名乗る教祖による教会運動、牧師による人間供儀など、近年耳目を集めた運動や事件が扱われている。現在アフリカのキリスト教を理解するために有益なドキュメンタリーではあるが、この映像が宗教の過激な側面のみを取り出し、教会の中にいる人々の切実なニーズや、教会全体に占める過激な行為の割合などを提示しないまま、非宗教的な教育を支持する態度をとっているといった傾斜には留意しながら観る必要があるだろう。

 今回のウガンダのニュースで注目したいのは、まず動画が公式に教会のものとして放映されていたということであり、それがネット上で拡散し、異議申し立てをする人がいた結果、警察が介入したということだ。つまり、多くのペンテコステ・カリスマ系教会で、メディアでの福音を布教戦略として使っているが、SNSが普及する中、メディアは人々が教会の過激な行為を精査する手段ともなっているのである。今後、宗教とパブリックはメディアを介しながらどのような関係を作っていくのか。動向を見ていきたい。