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今日のアフリカ

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アフリカ各国の物価上昇と対策

2022/07/20/Wed

ロシアによるウクライナ侵攻が、アフリカ諸国で食料や燃料の価格高騰を引き起しているが、その中で、不満を募らせた人々が各地で警察と衝突する例が続いている。

 モザンビークでは、先週木曜日に首都マプトと郊外のマトラで高騰する生活費にたいするデモが行われた。警察は、「無秩序行為と破壊行為」を行ったとして、98人を逮捕・起訴したとされる[BBC 7月19日]。また、六月に29.8%の消費者物価上昇率を記録したガーナにおいても、先月、物価高や経済停滞を不満とする人々のデモと警察の衝突が起こっている。デモ隊には催涙ガスがまかれ、29人が逮捕された[Aljazeela 6月29日]。

 人々の不満が高まる中、各国政府は様々な対応を行っている。ガーナ政府は、苦境から脱するためにIMFに緊急援助のパッケージを要請に踏み切った[Aljazeela 7月13日]。ケニアにおいては、主食であるウガリに使用されるトウモロコシ粉の価格を下げるための補助金を出すことを決定した。しかし、この施策はその実施タイミングから、来月9日の選挙の票集めだという批判もある[BBC 7月19日]。

 主要穀物の栽培も見直されている。ジンバブエでは、主な主食であるトウモロコシと小麦の価格が、ロシア侵攻が始まって以来、50%以上値上がりした。また、ロシアに依存している肥料原料の価格も3倍となった。このため、政府や国連開発計画(UNDP)は、肥料が少なくて済み、干ばつに強く、栄養価の高いソルガムやトウジンビエなどの伝統的な穀物を植えるよう農民に呼びかけている[BBC 7月19日]。

 差し迫った困窮に対する支援と今後の食糧安全を見通した施策、各国政府にはその両方が求められているといえるだろう。