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今日のアフリカ

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米国における人工中絶権破棄判決の影響

2022/07/03/Sun

 6月24日、米国最高裁は、女性の人工中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄した。このアフリカへの影響が懸念されている。
 6月29日のルモンド紙によれば、サブサハラアフリカ48カ国のうち、南アフリカ、サントメ・プリンシペ、カーボヴェルデ、ギニアビサウのみが、12週まで中絶を無条件で認めている。多くの国は、母体が危険である場合という条件づきで中絶を認めている。一方で、セネガル、モーリタニア、アンゴラ、コンゴ共和国、マダガスカル、シエラレオネは、レイプの場合も含めて中絶が違法化されている。
 シエラレオネでは、2015年12月に中絶を認める法律が議会で採択されたものの、翌年バイ・コロマ大統領(当時)が署名を拒否した。背景に宗教指導者の圧力があったと言われている(BBC 2016年3月12日付)。
 米国国内の動きは様々な形で世界に影響を与える。今後各国で生じるであろう米国最高裁判決のリパーカッションについて、注意深く観察する必要がある。