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今日のアフリカ

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オミクロン株の広がりと今なすべきこと

2021/12/02/Thu

 オミクロン株の出現が全世界に大きな影響を与えている。入国禁止措置が広がっているが、今なすべきことを冷静に考えたい。南アフリカでオミクロン株が発見されたことは、同国の研究機関が適正に検査を行い、科学的な知見を透明性をもって公開した結果である。その事実にまず敬意を払うべきである。
 性急な旅行制限措置に対して、国連やWHOからも批判が高まっているが、優先すべきは途上国へのワクチン提供である。1日付ファイナンシャルタイムズは、GAVI(ワクチンアライアンス)の責任者セス・バークリー(Seth Berkley)氏の意見を掲載している。英国で2回目接種からブースター接種までの期間を3か月にする議論がでていることを、同氏は科学的根拠がないとして厳しく批判し、ワクチン・ナショナリズムを避けなければならないと強調している。
 発展途上国と先進国の間にワクチン提供の巨大な不平等があることは、すでに繰り返し指摘されている。南アフリカでは人口の3分の1以下の人しか第1回目の接種を受けておらず、AU加盟国で11月末までに2回接種を受けた人は人口の5%程度に過ぎない。途上国の人々にワクチンが行きわたらない限り、先進国の人々はいつまでも変異株に怯えて暮らすことになる。