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今日のアフリカ

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スーダンでクーデタ未遂が発生

2021/09/22/Wed

9月22日付のロイター通信によれば、スーダン政府は、国営放送をつうじて、同日未明に現暫定政権に対するクーデタの計画を阻止したと発表した。

スーダン政府によれば、今回未遂に終わったクーデタは、オマル・バシール前大統領を支持する軍のイスラム主義者や市民によって計画された。彼らは、港湾や主要道路を封鎖し、複数の町を支配下に置こうとしたとみられている。21日未明には、オムドゥルマンにあるラジオ局が標的にされ、ハルトゥームとオムドゥルマンを繋ぐ橋が一時的に閉鎖された。また、ハルトゥームやオムドゥルマンの市内で小競り合いがあったという報告もある。しかし、日中にはハルトゥーム市内はいつも通りの生活に戻っている。

スーダン軍は、今回のクーデタ未遂に関して、首謀者である軍のイスラム主義者とそれにかかわった22人の軍人を逮捕し、国内の治安はコントロールしていると発表した。アブダッラ・ハムドク首相は、今回のクーデタ未遂事件を、民主的な政権移行を中断しようとするバシール支持派による企てであるとして彼らを厳しく批判している。また、軍のトップであるブルハン主権評議会議長も、今回のクーデタ未遂は軍の統一性を損なうものだとして強い危機感を表明している。

スーダンでは、市民による反政府デモが数ヶ月続いた後、2019年4月にバシール政権が崩壊した。その後、市民と軍の代表から構成された主権評議会を中心にした暫定政府が樹立した。暫定政府は、バシール前大統領をICC(国際刑事裁判所)に引き渡す準備を進めており、こうした施策は国際社会から評価されている。その一方で、スーダン国内では、暫定政権の樹立後も、政治的な分断と経済的な不況が解決されておらず、政府への不満は解消されたとは言いがたい状況にある。こうしたなか、今回のクーデタ未遂は、軍の内部に民政移管に反対する勢力が存在していることを示すものとなった。スーダンでは、2024年に総選挙が予定されているものの、民主化への移行にはさまざまな障害があることが予想される。