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今日のアフリカ

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コンゴ東部戒厳令への市民社会の反発

2021/08/14/Sat

 12日、コンゴ民主共和国の市民組織のLucha(Lutte pour le changement)は、ゴマで記者会見を開き、5月上旬から導入されている戒厳令(l'état de siège)の解除を求めた。戒厳令が治安改善に役立たず、むしろ暴力を激化させて、人権侵害に結び付いていると主張し、来週以降、全国で平和的なデモを開催すると宣言した。
 コンゴでは、5月上旬に東部2州(北キヴ州とイトゥリ州)に戒厳令が発布され、文民の行政官が職務を停止される一方で、国軍の統治下に置かれ、知事は軍、副知事は警察から任命されている。裁判は軍事法廷で開催されている(5月4日付ルモンド)。
 しかし、軍による統治は暴力の抑制に成功せず、連日多数の犠牲者が報告されている。この地域の治安情勢をウォッチしているKivu Security Trackerによれば、5月6日から8月5日の期間に485人の市民が殺害された。うち254人はADF(ウガンダ系の武装組織)によるもの、231人はFDLR(ルワンダ系の武装組織)によるものと推計されている(8月6日付ルモンド)。
 戒厳令については、早い段階から国軍の暴力を懸念する声が強かった。Luchaは、戒厳令によって、市民は武装勢力と国軍の双方からの暴力に怯えることとなり、市民権は著しく侵害され、地方行政は停止している、と主張し、戒厳令の解除と行政機構の非軍事化を要求している。
 コンゴ東部において、国軍は問題の一部であったから、それに主導権を渡して問題解決を図ることには無理があった。与党UDPS幹部は戒厳令を評価し、継続する意向を示しているが(8月6日付ルモンド)、適切な方策とは到底思えない。この地域で無辜の市民の殺戮が続いていることには、本当に心が痛む。