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今日のアフリカ

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南スーダンで政治・軍事組織の内紛

2021/08/09/Mon

8月7日付のAljezeeraによれば、南スーダンでは、リエック・マチャル(Riek Machar)副大統領が率いるスーダン人民解放運動/軍野党派(Sudan People's Liberation Movement/Army-In-Oppsition/SPLM/A-IO)の中で分裂が生じて、マチャル派と彼に敵対する党派の間で戦闘が勃発した。SPLM/A-IOは、2013年12月のジュバでの銃撃戦の後に、マチャルを指導者として組織されたヌエル人を主体とする政治・軍事組織である。その後、南スーダンの反政府勢力として南スーダン政府と対立してきたが、2018年9月に締結された和平合意において南スーダン政府との権力分有に合意した。今回の戦闘により双方に死傷者が出ているとみられているが、詳細は不明である。

この内紛は、8月4日にSPLA-IOの将軍たちが南スーダン北東部で開催されたIOの党会議において、マチャルを指導者(IOの議長兼最高司令官)から追放し、参謀総長のサイモン・ガトウェチ(Simon Gatwech)を暫定的な指導者と発表したことがきっかけである。この党会議に参加したIOの将軍たちは、マチャルは副大統領でありながら、リーダーシップを発揮せず、党を弱体化させたとして、彼を強く糾弾した。これに対して、マチャルは、自分の追放したIOの軍人たちを「平和の妨害者たち(peace spoilers)」と呼んで、彼らこそ南スーダンにおける国軍の統合に反対する厄介者であると批判した。そのうえで、自分は今もIOのリーダーとして党をコントロールしていると主張した。

ことし7月9日の独立10周年にあたり、サルバ・キール大統領は、南スーダンは今後、平和と開発の道を歩むだろうと述べたが、国内の経済状況と食料危機は依然として深刻であるそのようななかで、今回のSPLM/A-IOにおける内紛は、和平合意後にIOの軍人と政治家との間に生じている対立を表面化させるものとなった。このIOの内紛により、すでに遅れている和平合意の履行がさらに遅れることが危惧される。