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今日のアフリカ

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コートジボワール、モスクの世界文化遺産登録

2021/07/29/Thu

UNESCOにより13の新たな世界文化遺産登録が発表された(UNESCO 7月27日)。日本では北海道・北東北の縄文遺跡群が話題になっているが、アフリカではコートジボワール北部にある8つのモスクが登録された。これらの小さなモスクの特徴は、突き出た材木、陶器やダチョウの卵を冠した垂直の支え、先細りのミナレットである。このような建築様式は、14世紀頃、サハラ砂漠を越えた北アフリカとの金や塩の貿易で栄え、後にマリ帝国の一部になったジェンネの町で生まれたと考えられている。特に16世紀以降は、砂漠地帯からスーダンのサバンナ地帯へと南下し、湿潤な気候に対応してより低く、より強固な支えを持つ様式へと変化していった。西アフリカのサバンナ地域に特有のこれらのモスクはスーダン様式と呼ばれ、イスラム教の建築様式と現地の建築様式が融合した、特徴的なスタイルである。イスラム教やイスラム文化の拡大を促進したサハラ交易の重要な証言であり、形状が維持されていることが世界文化遺産に値するとして登録された。

 一方、コートジボワールでは昨日、アラサン・ワタラ大統領と元大統領ローラン・バグボ氏が、10年前の内戦以来、初めての会談で抱擁を交わしたとされる(BBC 7月28日)。内戦は、バグボ氏が選挙での敗北を認めなかったことに端を発し、3,000人が殺害され多くの被害者を出したとされる。国際刑事裁判所(ICC)が人道に対する罪で無罪判決を下したため、バグボ氏は先月コートジボワールに帰国していた。ワタラ氏は両氏の会談の中で国が平和であることの重要性を語ったが、世界文化遺産が危機に瀕される理由の一つが武力衝突の勃発である。貴重な文化遺産を引き継いでいくためにも、暴力や混乱のない政治を望みたい。

© OIPC