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今日のアフリカ

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コンゴ民主共和国―コロナワクチンへの疑念

2021/05/11/Tue

 10日付ルモンド紙は、コンゴ民主共和国で、コロナワクチンに対する疑念が広がり、接種が進んでいないと報じた。首都キンシャサの病院では、接種を受けるほとんどが外国人だという。4月、コンゴ政府はCovaxの枠組みで受け取った180万回分のAstraZeneca社ワクチンのうち、130万回分を返還した。
 コンゴでは、新型コロナウイルス感染症に対する誤った噂が飛び交っている。Covid-19は存在しないとか、金持ちや白人しかかからないと信じる者は少なくない。ワクチンを受けると不妊や不能になるとの噂もある。
 フェイクニュースだけの問題でもない。コンゴ政府の発表では、コロナウイルス感染症による死者は772人である。マラリアで1万人、はしかで6千人が亡くなる中で、コロナの危険性を説得的に伝えるのは簡単ではないと、現地のUNICEFスポークスマンは述べている。
 コロナは白人の病気だ、という考えはアフリカの多くの国で見られる。コンゴだけでなく、南スーダンやマラウイも、Covaxで入手したワクチンを期限前に使いきれず、廃棄する動きを見せた。一方で、コンゴが返還したワクチンは、中央アフリカ、セネガル、トーゴ、ガーナなどに提供された。こうした国々やルワンダなど、ワクチン接種が順調に進んでいる国もたくさんある。
 ワクチンに対する疑念は、ポリオやエボラ出血熱でも同じように見られた。一般に、こうした疑念の背景には、政府に対する不信がある。お偉方は何かしら理由を付けて自分たちを騙し、私腹を肥やしてきた、それに乗っかるのはごめんだ、という人々の認識である。医療の問題は常に、統治やガバナンスの問題と深く関わっている。