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今日のアフリカ

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エチオピア、政府軍がティグライ州都に迫る

2020/11/20/Fri

11月20日付のAljazeeraによれば、エチオピア政府は、ティグライ州での戦闘において、政府軍がティグライ州の州都メケレを包囲したと発表した。アビィ首相は、17日に政府軍は州都メケレの攻略に向けた最終的な軍事作戦を行うと発表しており、TPLFに降伏を求めていた。一方のTPLFは、州内のいくつかの町が政府軍に奪われたことを認めながら、政府軍と撤退抗戦することを明言している。

ティグライ州の戦闘は、戦闘開始から2週間が経過した。エチオピア政府の発表によれば、政府軍は州の西部の町を制圧後、北部の町に進軍した。メケレには同州の北部と南西部から迫っているという。一方のTPLFは、同州のいくつかの町が政府軍に制圧されたことを認める一方、政府軍の2つの師団と機甲部隊を殲滅したと発表した。さらに、19日に政府軍がメケレを空爆し、これにより市民に犠牲者が出た、としている。ただし、依然として通信網が遮断されており、双方の主張がどこまで正確なものなのか判断が難しい。

ケニアとウガンダは、エチオピア政府に対しTPLFとの和平交渉を行うように呼びかけているが、エチオピア政府は交渉を拒否している。また、依然としてTPLFへの強硬な姿勢も崩していない。すでに、TPLFと内通したという理由で、退役軍人を含め76人の軍将校に逮捕令状を発行した。この措置は、ティグライ人を標的にしているとの見方も出ているが、政府はこれを否定している。

さらに、19日、ブラハヌ・ジュラ参謀総長は、記者会見のなかで、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が、TPLF支援のために武器調達を行っているとして、彼を名指しで批判した。テドロス事務局長は直ちにこれを否定した。テドロス事務局長は、ティグライ出身で、WHO事務局長に就任する前は、EPRDF政権(アビィ首相就任以前の政権〈1991~2018年〉)で保健大臣や外務大臣を歴任した。

ティグライ州の戦闘では、すでに政府軍とTPLFの双方に数百人の犠牲者が出ており、3万人以上の人々がティグライ州からスーダン東部に避難している。現時点では、政府はTPLFと交渉する動きをみせておらず、一方のTPLFも一定の兵力を保持しているとみられ徹底抗戦の姿勢を崩していない。メケレは人口約30万人の都市であり、仮に双方の攻防戦が始まれば、相当数の人々が犠牲になるだけでなく、市民や周辺地域にも多大な影響が及ぶと危惧される。