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今日のアフリカ

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台湾がソマリランドを「承認」

2020/07/05/Sun

台湾とソマリランドが相互に外交関係を強化することで合意した。ソマリランドは1991年に独立を宣言したが、国際社会から承認を得るには至らず、数か国が外交事務所を置くにとどまる。エチオピア、トルコ、ジブチが領事館を置くほか、英国とデンマークが事務所を置いている。
 7月2日付ファイナンシャルタイムズによれば、台湾とソマリランドは「共通の価値に基づき」二国間関係を強化すると発表し、相互に外交事務所を開設する。
 この背景として、ソマリランドの地政学的重要性と台湾の外交戦略を指摘することができる。紅海の入り口に位置するソマリランドは、地政学的にきわめて重要な位置を占める。事実、隣国のジブチには、米国、日本、フランス、中国、イタリアが軍事基地を設置している。日本の自衛隊にとって、唯一の海外拠点である。
 独立への道を模索するソマリランドとしては、外交相手を増やすことの意味は大きい。特にアジアでは初めてのケースであり、援助も期待できる。 
 台湾としては、中国を意識した外交戦略の意味も大きい。アフリカでは、近年中国の外交攻勢が進み、台湾が外交関係を持つのは現在エスワティニ(旧スワジランド)だけになった。台湾にとっては、それだけソマリランドの外交上の価値が高まったと言える。
 非承認国家が非承認国家を相互に「承認」したわけだが、これは中国とアフリカの関係強化とコインの裏表にある事態とも言える。アジアとアフリカが様々な形で関係を深めているということだ。