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今日のアフリカ

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新型コロナウイルス感染症のアフリカでの影響

2020/03/20/Fri

新型コロナウイルス感染症の中心は、中国から欧米へと移行した。現在、焦点の一つは、今後アフリカにどのような影響が及ぶかであり、WHOは18日、アフリカ諸国に対して「最悪の事態に備える」よう呼びかけた。ジョンズ・ホプキンス大学の情報では、3月19日現在のアフリカの感染者数は、エジプト210人、南アフリカ116人、アルジェリア74人、モロッコ54人、セネガル31人、チュニジア29人、ブルキナファソ20人、ナイジェリア13人などとなっている。実際には、エジプトの感染者数は6,000人程度いるのではないかという意見もあり(3月19日付Africa Confidential )、この数字から言えることは限られているものの、現段階のアフリカ諸国が、ほとんどの場合、感染爆発の前段階にあることは明らかだ。
 アフリカ各国は迅速な対応を見せており、多くの国が、この数日間のうちに、ヨーロッパ諸国などとの航空便停止や学校閉鎖などの措置を取ると発表した。例えばルワンダは、先週末に教育機関の閉鎖を決めるとともに、学校の寮を閉鎖し、学生に帰省を命じた。また18日に、20日以降商業航空便の運航を停止すると発表した。同時に、景気刺激策として、500億ルワンダフランの融資枠を拡大すると中央銀行が発表した(3月19日付New Times)。
 コロナウイルス感染症の影響は多方面に及ぶが、病気の広がりそのものと経済への打撃が特に懸念される。この感染症が特に高齢者に危険であることを考えれば、若年層人口が多いアフリカ諸国にとって、病気そのものの影響はそれほど大きくないかもしれない。しかし、失業率が総じて高いアフリカでは、政府が自宅待機を命じても、人々は生活の糧を稼ぐために混雑した路線バスに乗って市中に出ていかざるを得ないことも多いだろう。感染者数は相当程度増加する恐れがある。
 一方、経済への打撃はすでに明らかで、特に石油価格の急落から産油国が深刻な経済後退を余儀なくされると予想されている。2019年の第3、第4四半期と連続してマイナス成長だった南アフリカも、更なる打撃を避けられない。この経済危機がどのような政治的帰結をもたらすのか、懸念とともに注視しなければならない。とはいえ、それはアフリカだけでなく、先進国も同様である。