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今日のアフリカ

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イスラエルの対アフリカ外交

2020/02/09/Sun

2月3日、イスラエルのネタニエフ首相がウガンダの首都カンパラを訪問し、ムセヴェニ大統領と会談した。この際ムセヴェニは、大使館をエルサレムに開設する可能性を検討すると述べた。ウガンダ・イスラエル間の航空便開設も検討されることとなった(4日付ルモンド)。
 さらにこの日、スーダン移行政権トップのブルハン(Abdel-Fattah Burhan)がエンテベ空港に飛び、ネタニエフと会談して、両国関係の正常化を発表した(4日付ニューヨーク・タイムズ)。この会談は、スーダン首相すら事前に知らされておらず、内外で驚きをもって受け止められた(5日付ルモンド)。
 近年イスラエルは、アフリカ諸国との外交関係を強化している。かつてイスラエルはアパルトヘイト下の南ア政権を支持していたため、アフリカ諸国からは総じて敵視されていたが、今日ではサブサハラアフリカ47か国のうち39か国と外交関係を樹立している。今回のウガンダ訪問は、ネタニエフ首相にとって、過去約3年半のうちに5回目のアフリカ訪問であった。ウガンダには2016年以来の訪問で、その際はエンテベ空港事件(テルアビブ発パリ行きのエールフランス機がハイジャックされてエンテベ空港に着陸し、イスラエル特殊部隊が解放作戦を敢行した)60年記念として訪問している。ネタニエフの兄弟は、当時コマンドの指揮官で、事件中に命を落とした。
 スーダンとイスラエルの関係改善は、スーダンの外交路線が親イランから親サウジアラビアへ変化するなかで徐々に進んでいたが、バシール体制崩壊とともに一気に進んだ。スーダンは米国の制裁解除や債務軽減を欲しており、トランプ政権もイスラエルとの関係改善を働きかけてきた。しかし、ブルハン移行政権トップの主導で行われた今回の正常化宣言には、疑問の声が呈されている。5日付ルモンド紙は、今回の動きを事前に知らされていなかった首相(すなわち市民運動派)と軍出身のブルハンとの亀裂を指摘し、6日付アルジャジーラも、ドーハ研究所所長Sultan Barakat氏の記事で批判的見解を掲載した。スーダン新政権の今後を考えるうえで、重要な動きになるだろう。