• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

東アフリカの電力事情

2020/02/02/Sun

アフリカではしばしば電力不足や電気代の高さが指摘される。しかし、その背景は一様ではない。1月21日付ルモンド紙は、東アフリカの電力事情について興味深い記事を掲載している。
 東アフリカは、トゥルカナの風力発電やケニア中部の地熱発電、また近い将来にはエチオピアのルネサンスダムが稼働するなど、発電能力が高く、マクロでみると電力不足は当てはまらない。2018年における東アフリカの発電能力は、電力需要に比べて通常の原子力発電所一基分程度の余剰がある。これは、アフリカの他地域との大きな違いである。
 ただし、当然ながら、これは国民すべてが電力へのアクセスがあることを意味しない。電気にアクセスできる人口の割合は、エチオピアで44%、ウガンダで22%、ブルンジで9%に過ぎない(2017年)。国民に広く電力が行き渡らないことで、投資資金を回収しなければならない電力会社には大きな負担になっている。普通の家庭にとって、電気はまだまだ高く、節約してしか使えない。したがって、産業の発展や誘致の重要性が増してくる。
 モンバサやラムの港湾設備のような大プロジェクトは、いずれも電気使用量が予想より少ないか、建設途中である。余った電気を他国に販売することは重要なので、国々をつなぐ送電線の設置は重要である。これはまだ足りない。南部アフリカにあるような、余剰電力をプールして再配分するような仕組みが、東アフリカにおいても作られるべきだ。
 電力供給が人々の日常生活改善のみならず、産業化の進展に不可欠であることは言うまでもない。アフリカに再生可能エネルギーの多大な潜在力があることは既に知られているが、地域別のより踏み込んだ情報が求められている。