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今日のアフリカ

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ルワンダと湾岸諸国のビジネス

2019/12/16/Mon

13日付ルモンド紙の報道によれば、カタール首長のタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー (Tamim ben Hamad Al-Thani)は、9日、10日ルワンダを訪問し、経済協力の促進で合意した。特に目立つのは、ルワンダが構想している新空港への出資で、キガリから40キロ離れたブゲセラに建設予定の空港プロジェクトの6割程度を出資することで合意した。同プロジェクトの総工費は13億ドル程度の見込みで、ルワンダ側は新空港建設によって700万人の旅行者を集め、観光立国化の起爆剤にしたいと構想している。資金協力の合意に伴い、2012年以来ルワンダに毎日就航しているカタール航空は、ルワンダエアー航空とパートナー協定を結んだ。
 空港建設における協力関係は、より広い政治面、ビジネス面の協力の一環である。ルワンダのカガメ大統領は大のサッカー好きとして知られるが、2011年以来カタール投資庁が筆頭株主となっているサッカークラブ「パリ・サンジェルマン」(PSG)に出資することとなった。年間数百万ドルを支払い、ホームスタジアムであるパルク・デ・プランスに「Visit Rwanda」の広告が流れることになる。
 ルワンダとカタールは数週間前に正式に外交関係を樹立し、大使を交換したばかりであり、両国の関係強化は急速に進展している。ルワンダは、在ドーハ・ルワンダ大使として、元アフリカ開発銀行勤務のエコノミストを派遣した。約30のアフリカの国々が投資目的でカタールと外交関係を樹立しているが、投資自体はあまり進んでいないと言われる。カガメのイニシャティブもあってカタールとルワンダとの関係強化が急進展したが、今後の持続性が注目される。
 カタールとライバル関係にあるアラブ首長国連邦もルワンダとの間に経済関係を深めつつある。10月に設立されたUAE資本のKigali Logistics Platformは、ダルエスサラーム港との間を繋ぐ道路建設を進めることになっている。ルワンダをめぐって、カタール、UAE間の綱引きが強まりそうだ。
 一方、ルワンダの政府系新聞ニュータイムズ紙は、14日、カガメの記者会見での発言として、独裁的な形での二国間関係には反対する、平等なパートナーシップを求めるとの意見表明を掲載した。両国に対して、ルワンダ側から釘を刺したというところだろう。アフリカに対する湾岸諸国のアプローチが強まっていることは、スーダンやエチオピアなどアフリカの角地域で顕著だが、同様の動きはルワンダに対しても見られるようだ。