2019年11月20日、エチオピア南部にて、シダマ人による自治州の設置を問う住民投票が実施される。南部諸民族州シダマ地方に暮らすシダマ人らは、現在の行政区分である「地方(zone)」から「州(region)」への格上げを政府に求めて、抗議デモなどを継続してきた経緯がある(参照:「今日のアフリカ:エチオピア・南部諸民族州での抗議デモ」(2019/7/21日付)。
シダマはエチオピアで5番目に多くの人口を抱える民族集団であり、同国の人口の4パーセントを占めるとの統計もある。今般の住民投票で住民の合意が得られその後うまく進展すれば、自治州への格上げが叶い、シダマの人々を中心に運営されるエチオピアで10番目となる州政府が誕生することとなるかもしれない。そうすれば、州内の税制、教育、安全、法などを自ら取り決める権利が付与される。
シダマの人々は長年、自治州への格上げを求めて抗議を続けてきたものの、過去の政権下でこれが結実することは無かった。現下のアビィ政権下で、このシダマの人々の運動がどのように展開するか国内の関心は高い。また、これが認められれば、国内各地で同様の動きが起こることは必至であるようにも思われ、その先には政治行政単位が細分化していく未来もあり得るかもしれない。今般のシダマの住民投票は、この先のエチオピアの中央と地方の関係や、同国の民族自治の在り方に関わるものである点で重要だろう。
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