• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ソーシャルメディアを通じた情報操作

2019/11/09/Sat

10月31日付ルモンド紙によれば、フェイスブックは、アフリカの複数国で、ロシアによる情報操作が行われていたと発表した。これに伴いフェイスブックは、53のページ、7つのグループ、5つのインスタグラムアカウントを閉鎖した。発表によれば、フェイスブック、インスタグラムの複数のアカウント、ページ、グループが、ロシア大統領に近いとされる実業家エフゲニー・プリゴジン氏に結びついていた。プリゴジンは、2016年米国大統領選挙において、反クリントン、親トランプのキャンペーンを行ったとされ、米国財務省による制裁対象となっている。プリゴジン氏はまた、ロシアの民間軍事企業で中央アフリカに傭兵を送ったとされるWagner社にも資金提供をしている。ツイッターやワッツアップでも同様の情報操作があったという。
 情報操作の対象は、コートジボワール、コンゴ民主共和国、中央アフリカ、カメルーン、マダガスカル、モザンビーク、スーダン、リビアであったとフェイスブックは述べている。閉鎖されたアカウントには、475,000のアカウントがフォローしていた。中央アフリカのアカウントはロシアの存在を称える内容があり、リビアでは、ハフタル将軍とカダフィの息子の一人を支持する内容が書き込まれていた。マダガスカルでは、ラジョエリナ(Andry Rajoelina)が2月の大統領選挙に勝利した後、当該アカウントが活発にその支持を訴えた。
 この報道が示すのは、ソーシャルメディアを通じた情報操作が世界各地で行われていることである。こうした情報操作には、ロシアに限らず、現地の政治アクターを含む多様な主体が関わっていると見るべきだろう。結局のところ、問われているのは、情報に対する私たちのリテラシーである。