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今日のアフリカ

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ボツワナの選挙で与党勝利

2019/10/28/Mon

南部アフリカのボツワナで先週総選挙が実施され、与党ボツワナ民主党(BDP)が勝利した。ボツワナは政治的安定と高い経済成長で知られた国だが、今回の選挙では、BDPが過半数を維持できるか不安視された。前大統領カーマ(Ian Khama)が選挙を前にしてBDPを離党し、野党連合に合流したからである。カーマは2008年から2期10年間大統領職を務めた後、昨年マシシ(Mokgweetsi Masisi)に大統領職を譲った。しかし、その直後から両者の間に軋轢が生じ、カーマはマシシの手法が強権的だと批判して、ボツワナの野党連合「民主的変化のアンブレラ」(Umbrella for Democratic Change:UDC)に参加したのである。
 ボツワナは議会での投票によって大統領が任命されるため、UDCが今回の選挙で勝利すれば、マシシではなくUDCの指導者ボコ(Duma Boko)が大統領に就任する可能性が高まる。ボコは、大統領になった場合には、ダイヤモンド政策を見直すと主張したため、経済界に動揺が広がった。デビアス社を擁するAnglo American社に対して、当選すればよりフェアな利益配分を求めると述べていた(ファイナンシャルタイムズ10月23日付)。
 今回の選挙でもBDPが政権を握る独立以来の体制は変わらなかった。ダイヤモンドをめぐって、ボツワナが急激な政策変更を行う可能性はほぼない。ただし、アフリカ各地で資源ナショナリズムが顕在化している今日、鉱物資源の利益配分を高めるというわかりやすい政策を訴える政治指導者は増えてくるだろう。BDP政権下のボツワナでも、こうした動きが出てくるかもしれない。