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今日のアフリカ

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ブルキナファソの治安情勢悪化

2019/10/06/Sun

10月3日付ルモンド紙は、ブルキナファソ北部の治安情勢悪化を伝えている。9月23日仏政府は、「9月13日から16日に、サヘル地域に展開中の「バルカンヌ作戦」の部隊が、ブルキナファソ北部のジボ(Djibo)軍キャンプの部隊の活動に参加し、ブルキナファソ国軍の作戦を支援した、と発表した。ジボは首都ワガドゥグの北方210キロに位置し、北部地域を守る重要な街である。仏軍部隊は軍事ヘリコプターを派遣して国軍の活動を支援したが、これがなければこの町が武装勢力の手に陥落していた恐れがあるという。「バルカンヌ作戦」の部隊はこれまでマリ国内の活動に集中しており、ブルキナファソ領内での初めての本格的軍事介入であった。
 ブルキナファソ北部では、ここ数年来、マリ中部の政治的混乱が越境する形で治安が悪化している。イスラーム急進主義を唱えるジハディストの活動に加えて、そのジハディストの中心勢力と見なされているプール人と周辺のエスニック集団との紛争が激化している。同国では、2014年に27年にわたり政権を掌握したコンパオレが民衆革命によって放逐され、より民主的な政権が成立した。しかし、それ以降、地方における中央政府の統治力は低下している。警察幹部は今日、国土の3分の1に中央政府の統制が及んでいないと認めている。
 コンパオレ政権成立後、2015年末に成立したカボレ(Roch Marc Christian Kaboré)政権は、北部の治安悪化に有効な対応を取ってこなかった。こうした治安問題は、コンパオレ前大統領が攻撃の背景にいるとか、フランスが糸を引いているといった陰謀説によって説明される傾向にあった。しかし、「バルカンヌ作戦」の部隊がブルキナファソ国軍と協力して治安維持にあたった事実は、ブルキナファソ側はそうした認識を改め、仏軍との協力なくして北部の治安を回復できないと考えるようになったことを示している。
 ブルキナファソ政府と仏軍とが協力するようになったことは一歩前進かも知れないが、これがどの程度の効力を発するかはなお不明である。何より、早くから協力しているマリ側で、治安改善が見られない。状況は相当に深刻だと考えざるを得ない。