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今日のアフリカ

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ルワンダがリビアのアフリカ人難民を受入れ

2019/08/12/Mon

ヨーロッパ渡航を目指してリビアに渡り、そこで収容施設に留まっているアフリカ人難民について、ルワンダが受け入れる計画が進められている。ルワンダは2017年11月に、リビアで難民が置かれている非人道的状況に関連して、自国が難民を受け入れる用意があると表明していた(2017年11月23日付New Times)。今年7月2日、リビアの首都トリポリで、アフリカ人難民収容施設が空爆され、数十名の難民が死亡した事件をきっかけに、この案が本格的に検討され始めた。国連機関の国際移住機関(IOM)と難民高等弁務官事務所(HCR)からEUのモンゲリーニ外相とAUCのマハマト議長に書簡が送られ、ルワンダに難民を移送する案を進めるよう提案がなされたという(2019年8月6日付ファイナンシャルタイムズ)。ルワンダ外務省担当局長によれば、リビアから同国へ500人の難民をEUとUNが資金提供する「緊急移送メカニズム」を通じて搬送するという。
 ルワンダに搬送したところで希望する国に移住できない状況が変わるわけではないし、問題を他国に「アウトソーシング」するだけで、長期的にはヨーロッパ諸国が難民受け入れを広げるしか策はないという批判もある。人道危機に晒されているリビアのアフリカ人移民について何らかの策を講じたい国連が、ルワンダの提案に乗る形で、リビアから難民救出を働きかけたようである。国連によればリビアの収容施設には5000人のアフリカ人移民がいると推計されるとのことで、このオペレーションによって問題が解決されるわけではないが、何らかの策を講じたいということだろう。
 一方でこの措置は、ルワンダの典型的な外交政策だともいえる。カガメ政権は、アフリカの人道危機にアフリカ自らが対応することの重要性を常々訴えてきた。パフォーマンスだとの誹りがあるとしても、リビア難民の受入れを打ち出し、また実行したことは、国際機関や西側諸国から高く評価されるだろう。カガメ政権は、国際社会の外交的感性に訴えかけることに非常に長けている。