• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

モーリタニア大統領選挙

2019/06/23/Sun

 西アフリカのモーリタニアでは、6月22日(土)に大統領選挙(第1回投票)が実施された。現職のモハメド・ウルド・アブデルアジズ(Mohamed Ould Abdelaziz)は、三選規定に抵触するため出馬しない。彼は2008年8月6日にクーデタで政権を奪取し、2009年、14年の大統領選挙で勝利した。後任の候補者として、現政権の下で10年間国軍参謀長を務め、数か月前に国防相に転じたモハメド・ウルド・ガズアニ(Mohamed ould Ghazouani)を指名した。腹心の部下である。
 アブデルアジズ政権は、2期10年の間治安を強化し、2010年以来大きなテロ事件は起きていない。西アフリカ5か国の治安枠組み「G5サヘル」にも熱心に協力してきた。マクロ経済も比較的堅調である。一方、社会的不平等は問題点として指摘される。モーリタニアは1981年になってようやく奴隷制廃止が大統領令で布告された経緯があり、社会的不平等が深く根付いている。奴隷の子孫はハラティンと呼ばれるが、国軍の将軍のうち、モール人が34人なのに対して、ハラティンはわずか2人に過ぎない(6月21日付ルモンド紙)。また、モーリタニアにはソニンケ、ウォロフ、プールなどサブサハラアフリカに広く居住する民族も存在するが、これら民族に対する差別も存在する。
 アブデルアジズ政権の下で、モーリタニア経済は比較的好調だったが、そこから裨益した人々は少ないと指摘される。22日の投票結果は来週中に発表される予定である。現政権の路線継続を訴えるガズアニが有利と見られるが、新政権下で社会的不平等に何らかのメスが入るだろうか。