新大統領就任から4か月、コンゴ民主共和国でようやく新首相が決まった。5月20日、イルンガ・イルンカンバ(Sylvestre Ilunga Ilunkamba)が新首相の任命を受けた。新首相は78歳。経済学博士で、モブツ時代に副大臣を4回、また計画大臣、財務大臣を務めたが、最近は政治活動から引退し、鉄道公社(Société nationale des chemins de fer congolais: SNCC)総裁を務めていた。20日付ルモンド紙によれば、この人事は前大統領のカビラが提案し、チセケディが受諾したという。新大統領就任から4か月の長きにわたって首相が決まらなかったのは、チセケディとカビラの間で綱引きが続いていたからである。経歴から見ると新首相はテクノクラートだが、チセケディとカビラのつなぎ役を期待されているようだ。
同じ20日、有力政治家カトゥンビが地元のルブンバシに帰還した。カトゥンビはちょうど3年前に不動産問題で有罪判決を受け、それ以来事実上の亡命生活に入っていた。カビラと何らかの合意があって帰国が可能になったと見られ、帰還に伴って訴追するなどの動きはない。大統領選挙でカトゥンビが支持したファユルは、依然としてチセケディが勝利した選挙結果を認めていないが、カトゥンビはチセケディを大統領として認める立場を取っている。
やはり同じ20日、ルドリアン仏外相がキンシャサを訪問し、チセケディと会談した。ルドリアンは、今年1月大統領選挙の結果が発表された際、チセケディ勝利に強い疑念を示したことで知られる。過去は水に流して、関係修復というところだろう。中部アフリカの大国コンゴ民主共和国で、ようやく新体制がゆるゆると動き出した感がある。