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ベナンで野党を排除した下院選挙

2019/05/06/Mon

1991年に複数政党制を導入して以来、ベナンでは選挙を通じた平和裏な政権交代が何度も起こり、アフリカでも民主主義が定着した国のひとつと見なされてきた。しかし、そのベナンで民主主義の危機と呼びうる事態が起こっている。
 4月28日の下院選挙では、タロン(Patrice Talon)大統領の支持政党である共和ブロック(Bloc républican)と進歩連合(Union progressiste)の2つしか参加を許されなかった。野党から呼びかけに答えて多くの有権者が投票をボイコットし、投票率はわずか22%に留まった。選挙後も都市部では緊張が続き、首都コトヌではボイコット運動の中心ボニ・ヤイ前大統領が逮捕されるとの噂が流れ、自宅周辺にバリケードが築かれる事態となった。デモ隊に対して治安部隊が実弾を発射し、数名が死亡したとの報道もある(5月2日RFI放送)。

タロンは2016年の大統領選挙で、前職のボニ・ヤイが推す対立候補のザンス(Lionel Zinsou)を破って当選を果たした。実業家のタロンは、前政権の腐敗を攻撃し、大衆の支持を得た。就任後、財政健全化を果たし、公共サービスを改善するなどの手腕を見せたが、ラジオ局を閉鎖したり、元側近の実業家アジャヴォン(Sébastien Ajavon)を亡命に追い込むなど、強権的な政権運営が目立ってきていた。野党を排除した選挙は、こうした背景の中で実施された。
 このところ、民主主義が定着したと思われていたアフリカ諸国で、権威主義的統治の傾向が見られることは懸念される。セネガルでも、2月の大統領選挙では有力者が排除され、4月には唐突に首相職の廃止が閣議決定された(4月18日付ルモンド)。報道によれば、タロンはルワンダの大統領カガメの信奉者だという(5月3日付Africa Confidential)。ビジネスに重きを置き、民主主義や人権を後回しにするスタイルが広がっていくのだろうか。