• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ベルギー首相が混血児の処遇について謝罪

2019/04/06/Sat

 4月4日、ベルギーのミッシェル首相は、下院本会議において、植民地期のブルンジ、コンゴ、ルワンダにおける、異人種間結婚から生まれた子供に対する政策について謝罪した。植民地期には、ベルギー人の父親と「土着」の母親との間に1.4~2万人の混血児が生まれたが、独立前後の1959~62年にそのうち約千人が母親のみならず兄弟とも離されてベルギーに連れてこられたという。5日付ルモンド紙が引用する首相演説によれば、こうした子供たちは「ベルギー各地の孤児院や寄宿学校にばらまかれた。彼らは名前や生年月日を変えられ、アイデンティティを喪失した」という。下院総会には、数十人の当事者(親から引き離された子供たち)が招かれ、傍聴した。
 ベルギー統治下のアフリカ諸国ではカトリック教会の影響が強く、植民地当局も異人種間結婚に否定的だった。混血児は「メティス」と呼ばれ、人種間分離を基本とする植民地政策への脅威と捉えられたことがこうした政策の背景にあると、ニューヨークタイムズ紙(4日付)は分析している。混血児の拉致については、2017年にカトリック教会が関与を認めて謝罪している。
 植民地期に恐るべき不正義が行われたことは様々な国で共通している。長い時間を経て、それが表面化し、対応を迫られているのが近年の状況である。問題の深刻さを考えれば、謝罪だけで済むわけではないだろう。それでも、政府として問題を認め、謝罪することは和解と問題解決への一歩として評価できる。