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今日のアフリカ

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アルジェリア国軍トップが大統領交代に言及

2019/03/27/Wed

3月26日、アルジェリアの人民国民軍(Armée nationale populaire: ANP)のトップであるアハメド・ガイド・サラー(Ahmed Gaïd Salah)将軍は、現状の混乱を打開するために憲法第102条を援用するよう呼びかけた。憲法102条は、大統領の交代理由を定めたもので、辞任、もしくは健康上の理由による障害(empêchement)が挙げられている。この条項を援用することにより、憲法に則った形でブーテフリカを交代させることができるということである。ルモンド紙によれば、サラーの発言はウアグルラ(Ouagrla)第四軍管区からのテレビ中継で伝えられたもので、軍のトップが現職大統領交代の方策を公的に表明したことになる。
 アルジェリアでは、ブーテフリカが4月に予定されていた大統領選挙で5選を目指すとの表明をきっかけに、激しい反対デモが起こった。ブーテフリカは、3月11日に次期大統領選挙への出馬取りやめと大統領選挙の無期限延期を表明したが、デモは鎮静化せず、ブーテフリカの辞任を求める声が高まっていた。軍トップの表明はこうした事態を受けてのものである。
 軍がブーテフリカの中核的支持基盤なので、サラーが軍を掌握しているとすれば、これは非常に大きな動きである。ブーテフリカが辞任しなければ、憲法に則って軍が後継者を選ぶというメッセージになる。民衆のデモにおいて、これまで軍を表立って非難する主張は現われていない。軍としては、民衆の反感が既存の統治システム全体に及ぶ前に、事態を収拾したいということだろう。
 RFI(ラジオ・フランス・インターナショナル)で流された反政府運動指導者のインタビューを聞く限り、彼らは今回の軍の声明に従って運動を収拾するつもりはないようだ。軍も既存のシステムの一部だとして、運動を継続する意向を表明している。これからしばらくの期間は、アルジェリアにとっての歴史的岐路になるだろう。