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今日のアフリカ

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フランス、ジェノサイド記念式典にルワンダ出身議員を派遣

2019/03/23/Sat

3月21日のルモンドによれば、ルワンダで4月に開催されるジェノサイド記念式典に招待されていたマクロン仏大統領は、欧州議会選挙が近いという日程上の理由で欠席を表明し、代理として、ルワンダ生まれの国会議員で彼の政党「共和国前進」 (Républic en marche: LRM)のスポークスマンであるベルヴィル(Hervé Berville)議員を派遣すると発表した。
 ベルヴィル議員は29歳。ルワンダで生まれ、ジェノサイドの前に両親を失っていた。1994年、4歳の時にルワンダから救出され、コート・ダジュール県のプルドノ(Pluduno)村に住む両親(父親は金物屋、母親は研究所助手)の養子となった。リール政治学院からロンドンのLSEに進み、経済史の修士号を取得。フランスの援助機関AFDなどで働いた後、2015年にはスタンフォード大学のプログラム担当者としてケニアで勤務した。同じ年に政治活動に入り、マクロンの政治運動に参加。2017年の選挙でコート・ダジュール第2選挙区から当選し、LRMのスポークスマンとなった。
 1994年、内戦下のルワンダでジェノサイドが起こった時、ミッテラン政権のフランスはハビャリマナ政権を支援していた。内戦後に成立したルワンダのRPF政権は、フランスがジェノサイドに加担したとの非難を続け、両者の関係は時にきわめて緊張してきた。マクロン政権下、特にフランス側が歩み寄る形でその関係が変化してきたことは本欄でも何度か報じてきた。ジェノサイドの引き金となった大統領搭乗機撃墜事件に関連したRPF政権要人への訴追を撤回したのもその一例である。ルワンダがジェノサイド記念式典にフランス大統領を正式に招待したのは、そうした変化が背景にある。しかし、もし記念式典にフランス大統領が出席すれば、ジェノサイドへの責任論が飛び出す可能性もあり、踏み切れなかったということだろう。
 それにしても、ベルヴィル議員のような人材を抱えているというのは、フランスとアフリカの関係の広さ、深さを感じずにいられない。