この年末はコンゴ民主共和国の選挙に注目が集まっているが、その他にも重要な選挙が行われている。マダガスカルでは、19日に大統領選挙の第2回投票が実施され、27日に暫定結果発表がなされた。アンドリー・ラジョリナ(Andry Rajoelina)が55.66%の得票率でマルク・ラヴァロマナナ(Marc Ravalomanana)を破ったと発表された。両者は因縁の対決である。ラヴァロマナナはヨーグルト売りから身を立てた実業家で、首都アンタナナリボの市長を務めた後2001年の大統領選挙に出馬して勝利。2002年から大統領職を務めた。一方のラジョリナは、元々ディスクジョッキーなどの仕事をしていたが、やはりアンタナナリボ市長を経て、2009年から2014年まで元首を務めた。彼は事実上ラヴァロマナナを追い落とす形で元首の座に着いたため、両者の間には強烈なライバル意識がある。今回、ラジョリナの勝利が発表されたものの、ラヴァロマナナはこれを簡単に認めないであろう。
トーゴでは、12月20日に実施された下院選挙の結果が24日に発表された。与党UNIR(Union pour la Republique)は、91議席中59議席を獲得。過半数は確保したものの、前回より3議席減らした。第2党はオリンピオ(Gilchrist Olympio)率いるUFC(Union des forces de changement)で、6議席獲得した。投票率は60%であった。24日付のルモンド紙によれば、与党はニャンシンベ(Faure Gnassingbe)大統領の政権安定化のための憲法改正を目論んでいたが、選挙結果はこれを裏切るものだった。憲法改正には議席の5分の4(73議席)が必要で、獲得議席はそれを大きく下回ったからである。トーゴでは、クーデタを通じて1967年に政権を握ったエヤデマ(Étienne Gnassingbé Eyadema)が、2005年に死去するまで大統領の座にとどまり、その後も息子のニャンシンベに権力が委譲された。UNIRは、エヤデマが創設した旧唯一政党のRPF(Rassemblement du peuple togolais)を改組した政党である。親子で半世紀以上権力を独占する体制に国民の不満は鬱積しており、昨年もしばしば都市部で大規模な抗議運動が発生している。
今日のアフリカ
マダガスカル、トーゴの選挙
2018/12/29/Sat