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今日のアフリカ

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サイの密猟に関するドキュメンタリー

2018/10/26/Fri

10月25日付ルモンド紙は、サイの密猟に関するドキュメンタリーの監督へのインタビューを掲載している。「Rhino dollars」を制作したOlivia Mokiejewski監督で、この作品は優れたドキュメンタリーを数多く放映することで知られるTVチャンネル「Arte」でも放映される。
 同監督によれば、現在白サイ、黒サイ合わせて生息数は25,000頭と言われるが、南アフリカでは年間1000頭が密猟で殺されており、あと20年もすればサイは絶滅するという。また、動物密猟は生物多様性の問題として捉えられるが、組織犯罪やテロリストの資金源にもなっており、安全保障上の問題でもあるとの指摘には目を開かされる。密猟に携わるマフィアネットワークは5段階から構成されており、末端は密猟者、トップは中国本土か香港に拠点を置くビジネスマンであるという。これらビジネスマンは、完全な合法ビジネスを行っている。ドキュメンタリーでは、第3、第4段階までは示すことができたと監督は述べている。南アで密猟が絶えないのはアパルトヘイトの影響が大きいとの指摘も重要だ。ツーリズムの収益は黒人層に裨益せず、レンジャーになっても給料は低い。密猟すればずっと高収入が得られるので、レンジャーは動物を守るインセンティブがないという。
 アフリカに関する優れたドキュメンタリーは数多く制作されているが、なかなか日本で見る機会がないのが残念だ。広く流通してほしいと思う。