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今日のアフリカ

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コンゴ民主共和国、ムクウェゲ氏にノーベル平和賞授与

2018/10/06/Sat

 5日、コンゴ民主共和国東部のブカヴにあるパンジ病院のドゥニ・ムクウェゲ(Denis Mukwege)氏にノーベル平和賞が授与された。ムクウェゲ氏は産科外科医であり、特に性暴力によって傷ついた多数の女性の手術に関わってきた。10月6日付ファイナンシャルタイムズ紙によれば、1990年代末に病院を開設して以降、5万人もの女性の治療に当たったという。同じ時期コンゴは内戦に陥り、2002年に公式に内戦が終結した後も東部では事実上の紛争状態が続いている。その中で無数の女性が性暴力の被害に遭ってきた。ムクウェゲ氏はこれまでにもEUからサハロフ賞を受賞するなど、著名な人物である。彼の活動を描いたドキュメンタリー映画『女を修理する男』は、日本でも公開された。
 ノーベル平和賞の授賞は、ムクウェゲ氏の功績や戦時性暴力に関心を向けさせることに加えて、少なくとも2つの効果を持つ。第1に、ムクウェゲ氏の身の安全がより保障されるだろう。氏はカビラ政権に批判的な言辞で知られ、政権から敵視されている。かつて暗殺の危険に晒され一時亡命したこともある。ノーベル平和賞の授賞により、政権からの脅威は和らぐだろう。報を受けて、コンゴ政府スポークスマンは、ムクウェゲ氏と政権との間に問題があることを認めつつも、祝意を表した。第2に、12月23日に予定されている大統領選挙を前に、コンゴへの国際社会の関心を高めるだろう。カビラの任期満了後2年遅れで実施されるこの選挙まで3か月を切ったが、道のりはなお不透明であり、様々な混乱が予想される。選挙への国際社会の関心が高まるのは、望ましいことである。