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今日のアフリカ

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犯罪組織の資金源と環境犯罪

2018/10/03/Wed

国際刑事警察機構(ICPO)は9月末、報告書「World Atlas of Illicit Flows」において、武装グループの活動資金の38%が環境犯罪によって得られたものであることを報告した。これまでは身代金や薬物の不正取引が主たる資金源であったが、近年は環境犯罪がそれらを上回ったとされる。犯罪組織や武装グループの資金源となっている環境犯罪には、象牙の不正取引や金の採掘、自然資源に課された違法な税金、金・ダイヤモンド・象牙などの資源の違法取引が含まれる。

環境犯罪のなかでも違法採掘と違法税金の割合は高く、どちらも武装グループの資金源の約17%ずつを構成すると報告されている。違法採掘の対象となる鉱物としては、コンゴ民主共和国東部の金やラテンアメリカのコルタン(携帯電話に用いられるレアメタル)などである。

なお、ソマリアを中心に活動するアル・シャバブは、活動資金2000万ドルのうち半分を違法な木炭の取引、残りを違法な税金から得ているとされ、木炭はおもにアラブ首長国連邦とサウジアラビアとのあいだで取引されている。アフリカでは消費された木材の約90%が燃料材として使用されているとされ、森林資源の枯渇と人口増加の関係ばかりが注目されがちであるが、ICPOの報告から、森林伐採は紛争にもかかわる重大な問題として広く認識される必要があると考えられる。