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今日のアフリカ

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中国の対アフリカ投融資と債務問題

2018/09/28/Fri

 中国がアフリカへの関与を深めるなか、その債務負担がアフリカ諸国にとって過大となる恐れが指摘されるようになった。9月上旬に北京で開催された中国・アフリカサミット(FOCAC)でも、習近平主席がアフリカ首脳を前に、中国は中味のない投資に資金を出さないと釘を刺し、債務問題を気にしている姿勢を明らかにした。
 9月26日付ファイナンシャルタイムズ紙は、ケニアの鉄道の事例を紹介し、それが一帯一路政策(BRI)のアフリカに対する展開を象徴していると論じている。ケニアの鉄道にはまず32億ドルが投資され、モンバサとナイロビをつなぐ475kmが16か月前に開通した。これに関しては、資金供与の不透明性に関する批判も強かった。開通から間を置かず、ナイロビとナイバシャ(リフトバレー)を結ぶ120km(15億ドル)が着工された。この際の融資はより周到に調査され、2019年6月の完成が予定されている。
 ケニア政府は9月のFOCACサミットの際に第3フェーズ(ナイバシャーキスム間)の調印を期待していたが、中国政府は38億ドルと見積もられるこの融資の調印を行わなかった。ケニアのインフラ相によれば、中国からより詳細なフィージビリティ調査を求められたという。中国は対アフリカ融資に関して、より焦点を絞ったアプローチに切り替えている。
 これは、中国の対アフリカ債務増大への懸念と符合した動きだが、ファイナンシャルタイムズ紙に掲載されたデボラ・ブローティガム教授(ジョンズ・ホプキンス大)の分析によれば、政策変化には国内的な配慮もあるという。中国のアフリカ政府に対する融資は縮小しているが、民間企業間のリンクは強化されており、特に建設セクターでは中国企業の国外利益の32%がアフリカで生み出されている。中国企業は、政府に対してBRIにアフリカのプロジェクトを含めるよう積極的にロビイングしているという。
 この分析が正しいとすれば、BRIは中国民間企業に押される形でアフリカ大陸へと延伸しつつあるということだ。一方で、インフラ建設がアフリカの経済成長に結びつかなければ、債務問題が浮上することは避けられない。結局のところ、アフリカが借りたカネに見合った経済成長を実現できるかが問われている。