• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

ルワンダで政治犯釈放

2018/09/27/Thu

 9月15日、ルワンダの政府系紙ニュータイムズは、カガメ大統領が2140人の受刑者に恩赦を与えたと報じた。この中には、野党指導者のヴィクトワール・インガビレや著名な歌手で反政府的な歌を歌ったとして収監されたキジト・ミヒゴなど、政治犯も含まれていた。この動きを巡っては、ルワンダの政治的開放の進展を示すものとは見なし難いとの認識が一般的だ。
 17日付ファイナンシャルタイムズ紙は、SOASのルワンダ研究者フィル・クラークのインタビューを掲載し、インガビレらの釈放を評価しつつも、他の野党指導者で収監されたままになっている人々が数多くいることや、現在ではインガビレの政治的影響力が低下していることから、政府にとって釈放のリスクは高くないという、クラークの見解を紹介した。クラークは親RPF政権の立場を隠さないことで知られている。彼でさえ、今回の措置を政治的開放の端緒と見ることに懐疑的なのだから、多くの研究者がどう評価しているかは推して知るべしである。
 カガメ大統領自身、19日、新任の上院議会宣誓式で演説し、「恩赦された反政府勢力が『自分は謝っていない』とか、『外国の圧力で釈放した』とか、言っている者がいるが、ルワンダは外国の圧力で動くことはない。それを証明するために、彼らを再び収監することもできる」、と述べた(9月20日付RFI)。カガメ率いる強面のルワンダ像は揺るがないように見える。
 とはいえ、大量の政治犯が釈放されたことは事実である。つまり、ルワンダの政治的意思決定に関わるどこかで、政治犯の釈放のアイデアが出て、それが実現されたわけである。少なくともその事実には留意しておきたい。