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今日のアフリカ

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中国・アフリカ協力フォーラムをめぐって

2018/09/08/Sat

 9月3-4日、北京で中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)が開催され、エスワティニ(スワジランド)以外のアフリカ53か国が出席した。会議において、習近平主席は総額600億ドルの対アフリカ支援を約束。これは3年前にヨハネスブルクで開催されたFOCACでの支援約束額と同じである。
 中国のアフリカにおけるプレゼンスを反映して、FOCACは世界的な関心を集めた。多くの報道が、中国にとって近年アフリカの重要性が増したと指摘している。ルモンド紙は、一帯一路政策がマレーシア、スリランカ、ミャンマーなどアジアで批判を浴びるにつれて、中国はアフリカへの伸長を打ち出すようになっており、ジブチへの軍事基地設置もその文脈で捉えるべきだと指摘している(9月4日付)。習近平は過去5年間で4回アフリカ大陸を訪問しており、その重要性を強く認識していることがわかる。中国と米国との軋轢が注目を集める状況下、FOCACは戦略的な側面でのアフリカの重要性を再認識させたと言えるだろう。
 一方、FOCACなどでアフリカに大規模な援助を供与することに対しては、中国国内に批判的な声がある。4日付FT紙は、そうした批判的な声がソーシャルメディアに掲載され、すぐに当局によって削除されたと報じている。
 とはいえ、中国はアフリカに援助の大盤振る舞いをするという姿勢から、アフリカへの自国企業進出を後押しするという政策へ転換しつつあるようだ。今回のFOCACに際してもアフリカ諸国の対中国債務増大の危険性がしばしば指摘されたが、中国自身その点には自覚的である。
 中国民間企業のアフリカ進出は非常に活発である。4日付ファイナンシャルタイムズ(FT)紙には、米国シンクタンクAtlantic Councilの研究員が、アリババを例に挙げて、中国ハイテク企業のアフリカ進出が急速に進んでおり、ローカルの企業家との間に密接な関係を築きつつあることを指摘するオピニオンが掲載された。米国のなかにも、アマゾンなどハイテク企業のアフリカ進出が中国企業に比べて出遅れているという認識がある。ジャック・マーの名前はアフリカでも非常によく知られている。FOCACは政府が旗を振るイベントだが、中国民間企業のアフリカ進出が急速に進んでいることにも留意すべきである。