• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

IMF、コンゴ共和国への債務救済策決定

2019/07/14/Sun

7月11日、IMFは理事会で、債務危機に陥ったコンゴ共和国(ブラザヴィル)に対して3年間で4億4860万ドルの経済再建支援を決定し、即時に4490万ドルを供与した。今回IMFの姿勢が注目されていたのは、コンゴの債務問題が複雑な背景を持っていたからである。2017年7月、コンゴ政府が債務の一部を隠ぺいしており、債務が実際には公表されていた数値よりもずっと大きいことが判明した。債務額は約90億ドルと、コンゴのGDPの120%に達する規模であった。債務の内容も不透明で、中国と多額の債務契約を負う一方、原油生産の「前貸し」(将来の原油販売を担保に資金調達する)をGlencore社やTrafigura社などの企業と結んでいた。ルモンド紙は、中国からの債務は現在約20億ドル~30億ドルに達すると報じている(7月11日、12日付)。
 問題をさらに複雑にしているのが、ナイジェリア生まれのレバノン人実業家(英国籍)ホジェイジ(Mohsen Hojeij)氏がトップを務めるCommissions Import-Export S.A. (Commisimpex)社との係争である。ホジェイジ氏は、かつて大統領サスー・ンゲソに深く食い込んで、建設業の仕事を請け負っていた。しかし、1980年代に行った事業の支払いを巡ってコンゴ政府と対立し、長年にわたる係争が続いている。Commisimpex社側のコンゴ政府に対する支払い要求額は140億ドル以上という膨大な額に達しており、またフランスの裁判所や国際商工会議所での勝訴判決を受けて、コンゴ政府に執行を迫る立場にある(10日付ファイナンシャルタイムズ)。コンゴの債務救済を議論するIMFに対してCommisimpex社は書簡を送り、IMFが同社に対する負債についての議論を無視してきたと抗議するとともに、同社に対する負債をコンゴ政府が公的債務に計上すべきだと主張した。
 債務の透明性に対するこうした問題に加えて、米国が中国への重債務国をIMFが支援することに反対するため、IMFの決定が注目されていた。結果的にはコンゴへの支援が承認されたことで、コンゴ側は一息つくことになった。しかし、債務問題の透明性やアカウンタビリティについての監視は今後いっそう厳しくなるだろう。また、コンゴは緊縮財政を強いられ、保健・衛生や教育といった社会部門への支出削減が懸念される。