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今日のアフリカ

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ICCとコートジボワール内政

2019/09/22/Sun

9月16日、ICC検事部は、1月15日に下された、元コートジボワール大統領ローラン・バボと元青年愛国運動指導者シャルル・ブレ=グデの無罪判決への異議申し立てを行った。Fatou Bensouda検事総長は、判事が証拠を過度に狭く解釈したと批判して、審理手続きの再開を要求した。1月の判決では、3人の裁判官のうち2人が、訴追根拠が著しく薄弱だとして無罪を表明し、1人はこれに反対した。検事総長による異議申し立てによって、再度の審理が開かれることとなる。17日付ルモンド紙によれば、無罪判決が覆る可能性が高いとの意見もあるが、バボ側の弁護士は想定内の対応だと述べている。バボらは2月1日に釈放された後もICCの監視下に置かれており、バボはブリュッセルに、ブレ=グデはハーグから出ることを許されていない。
 この控訴は、バボの政党(FPI)や支持者には打撃となる。2020年10月の大統領選挙をにらんで、前大統領アンリ=コナン・ベディエ率いる政党PDCIは、FPIとの同盟関係を構築しようとしていた。この戦略も見直しを迫られる可能性がある。FPI側は、今回の控訴を「メンツをつぶされたくないICC事務局と、アビジャンで祖国からバボを遠ざけておきたいと考える者たち」によるものだと論評した。一方、ワタラ政権側は今回の措置について一切のコメントを避けている。
 コートジボワールでは、来年の大統領選挙に向けて、ワタラ現政権、ベディエのPDCI、バボのFPIの間で駆け引きが続いている。各陣営は、内政に多大なインパクトを与えるICCの動向を注意深く観察しつつ、対応を決めていくことになる。