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ICCでコンゴ事件を担当する日本人判事に資格審査請求

2019/04/14/Sun

11日付ルモンド紙によれば、ICCの尾崎久仁子判事に対して資格審査請求が提出された。尾崎判事はコンゴ民主共和国のイトゥリにおける戦争犯罪行為などで逮捕・起訴されたンタガンダ(Bosco Ntaganda)の審理を他の2人の判事とともに担当しているが、今年2月11日に駐エストニア日本大使に任命され、ICCの判事は兼任になっている。ンタガンダの弁護人であるブルゴン(Stéphane Bourgon)氏は4月上旬、事件の審理(3人の判事による合議)を中止し、尾崎判事の資格審査を行うよう要求した。判事職がパートタイムであり、十分な審理ができないとの主張である。合議にあたって代理の判事は置かれていないため、もし尾崎判事が資格喪失と判断されれば、審理はやり直しとなる。2015年9月の公判開始以来70人以上の証人を呼び、積み上げてきた合議が無に帰すことになる。
 報道によれば、1月上旬、尾崎判事は2月11日以降は「個人的理由により」パートタイムの職務とするようICC総長に許可を申請し、2月13日にエストニア大使に任命された。その時、尾崎判事は、兼任が受け入れられなければ辞職すると述べたという。辞職すると審理は破棄され、裁判のやり直しが必要になる。結局、ICCは3月4日、尾崎判事の要請を認めた。ICCには判事に政治的活動を禁じる倫理規定があるが、この決定に反対した判事は少数だったという。
 日本はICC予算の最大拠出国である。ルモンド紙は、最大拠出国が自国人事の都合を優先させたという論調で記事をまとめている。アムステルダム大学のKevin Jon Helller教授(国際法)は、尾崎判事はICCの同僚が公判のやり直しを嫌がるだろうと踏んで自分の兼任を認めさせたのであり、明らかに問題だというコメントを寄せている。日本では尾崎判事が任期満了で退任したと報じられているが、担当案件が完全に終わらないのに外務省が人事発令を行ったのだろうか。このためにンタガンダの審理をやり直す事態になれば、許されることではない。
 ルモンド紙の記事はフランス等の見方を反映したものであり、日本にはそれなりの主張があるのかもしれない。この件は日本のマスメディアで報じられておらず、政府の見解も発表されていない。日本国民としてどのように考えればよいのか、気になる報道である。