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今日のアフリカ

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マリ、G5サヘルの枠組みから離脱

2022/05/16/Mon

 マリ政府は15日、G5サヘルと反ジハディスト軍事協力の枠組みを離脱すると発表した。G5 サヘルは、サヘル地域で活動を強めるジハディストの封じ込めを目的として2014年に創設された地域軍事協力の枠組みで、マリの他にモーリタニア、ブルキナファソ、ニジェール、チャドから構成される。創設にあたってはフランスが主導的な役割を果たし、継続的に支援を続けている。2017年からは、実際に構成国の間で軍事協力を実施してきた。
 マリ側は離脱の理由について、「G5サヘル構成国の中にマリが議長国となることに反対する国があり、そうした態度は受け入れがたい」と説明している。同時に、「この国の反対姿勢は、マリを孤立させようとする域外国の干渉と結びついている」とも指摘している(16日付ルモンド)。この離脱が、フランスとの関係悪化、そして今年初めから実施中のECOWASによる対マリ制裁措置を背景としていることは明らかである。
 マリの外交的孤立に伴って懸念されるのは、国連平和維持活動(MINUSMA)への影響である。MINUSMAはこれまでもフランスのバルカンヌ作戦から軍事支援を受けており、その撤退がもたらす負の影響が心配されている。こうしたなか、ドイツ政府は、MINUSMAへの派遣要員を増やすと発表した。現在1100人の要員をマリに派遣しているが、軍事訓練ミッション(EUTM)とあわせて、300人増強するという(11日付ルモンド)。この決定は、いかにヨーロッパ諸国が西アフリカの国際平和協力を真剣に捉えているかを物語っている。