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今日のアフリカ

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ナイジェリアの♯EndSARS運動

2020/11/10/Tue

ナイジェリアのEndSARS運動の活動家の逮捕者や制裁が続いている。これまで4人が逮捕され(Aljazeera 11月6日)、20の個人と企業の銀行口座を凍結する命令が裁判所からナイジェリア中央銀行に出された(Nairametrics 11月6日)。

 EndSARS運動は、10月初めから始まった若者を中心とした大規模なデモ運動で、「対強盗特殊部隊」(SARS)と呼ばれる警察の特殊部隊の廃止を訴えている。SARSは1992年に武装強盗と対峙するために設置された組織で、市民に対して不法な暴力行為、殺人、拷問などを行っているとして問題にされてきた。SARSへの反対運動は以前からあったが、10月から始まった運動は♯EndSARSのもとにSNSで拡散し、多くのナイジェリアの若者の支持を集めると共に海外やメディアの注目を浴び、大きなうねりとなった。ナイジェリアの各主要都市で大規模なデモが数週間にわたり行われ、治安部隊と衝突した結果、多数の死傷者を出している。ブハリ大統領は10月23日まで51人の市民と11人の警察官、7人の軍人が亡くなったと語っている。一方、人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ラゴスで起こった市民と治安部隊の衝突では少なくとも12人の市民が殺されたと見積もった(BBC 10月23日)。政府は暴動に発展させた主導者への責任追及を進めているが、運動側は新たなデモ活動を計画していることも報じられている。

ナイジェリアの30歳以下の若者は人口の40%を占める。♯EndSARSは若者を中心とする抵抗運動と同時に、アフリカで昨今増加しているSNSを中心媒体とする運動である。フェイクニュースの拡散という点と、海外メディアやセレブ・市民からの注目と支援を集めた点に、これまでの運動と異なる特徴がある。アフリカの運動が、世界中で接続できるものになってきているといえる。