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今日のアフリカ

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西アフリカの単一通貨ECO導入への評価

2019/07/19/Fri

西アフリカの15か国が加盟する「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」は、6月29日、域内に新たに導入する共通通貨の名称を「ECO」とすると決定し、2020年までにECOの導入を目指すと声明を発表した。

ECOWASは1975年に設立され、ベナン、ブルキナファソ、カボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴの15か国が加盟している。域内の総人口は約3億8500万人である。現在、加盟国のうち、セネガル、コートジボワール、マリ、ニジェール、ベナン、ブルキナファソ、ギニアビサウ、トーゴの8か国はユーロと連動するCFAフランを用いており、ほか7か国が独自通貨を使用している。通貨統合の可能性は、加盟国内の越境貿易や経済発展の促進策として約30年前から検討されていた。ECOは変動相場制を採用し、金融政策の枠組みとしてインフレ目標を重視するとされている。

ECO導入の支持者たちは、単一通貨導入により取引費用が削減され、域内の取引が促進されることを期待している。一方、エコノミストや批評家はこの決定に対し、長年の通貨統合構想に理解を示しつつも、現実離れした計画であると指摘している。とくに域内総生産の3分の2をナイジェリア一国が占めている不均衡な状況を鑑み、ナイジェリアが金融政策を支配し、期待されているような利益が得られないことを懸念している。

経済アナリストのTokunbo Afikuyomi氏は、ギニア経済を例にECOWAS内の経済格差にも触れている。ギニア経済は約70億ドルのGDPをもつが、これはナイジェリアで13番目の大きさの州(アビア州)よりも少ない経済規模となる。Afikuyomi氏は、このような経済格差が単一通貨導入を非常に困難にしていることを指摘している。

エコノミストや批評家が指摘するように、単一通貨の導入にはいくつもの課題が残されているといえるだろう。来年の導入を目指すのであれば、これらの課題を克服するために残された時間はあまりにも短い。西アフリカ諸国における経済の混乱が懸念される。