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今日のアフリカ

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CFAフランの行方

2019/11/16/Sat

11月7日、ベナンのタロン大統領は、RFI・France24のインタビューに答えて、フランスにおけるCFAフランの外貨準備を引き出す意向だと述べた。タロンによれば、UEMOA(西アフリカ経済通貨同盟)の中央銀行BCEAOが外貨準備の全額を管理し、各国にあるUEMOAパートナー銀行に配分するという。現在、CFAフランの仕組みでは、外貨準備の半分がフランス中銀に預金され、残りが2つのフラン圏の中銀(BCEAOとBCEAC)で管理される。この制度によって、CFAフランはユーロと無制限の交換性を担保されている。
 タロン大統領は、速やかに外貨準備をアフリカ側に移すと述べ、アフリカ関係各国がこの意向を共有していると強調した。しかし、現在までアフリカ各国の首脳からこれに対するコメントは何もない。
 CFAフラン体制は、フランスと旧仏領植民地諸国との間で1958年に設立され、1994年までは1フランスフラン=50CFAフラン、それ以降は1フラン=100CFAフランの交換レートを維持してきた。フランスの通貨がユーロに変わった後も、そのレートを維持する形でユーロと固定相場を保っている。この通貨体制については、通貨の安定性を評価する声と、植民地期の遺制だと反発する声で二分されてきた。11月15日付ルモンド紙は、タロン氏の主張は技術的に可能だが、CFAフランが持つユーロとの無制限の交換が疑問視されるとのエコノミストの指摘を掲載している。CFAフランのユーロとの交換性に関する信頼が揺らぐ事態となれば、各国ともそう簡単に現状変更の意思決定はできないであろう。
 フランス経済相Bruno Le Maireは、フラン圏諸国の過半数が改革を望むなら、フランスはそれに従うと述べている。一方、ECOWASは2020年に共通通貨Ecoの導入を発表しており、ナイジェリアはその場合にフランスとの関係を断ち切るよう主張している。最近、CFAフランをめぐる問題が頻繁に取りざたされるようになった背景には、アフリカ諸国の経済成長やこうした新たな経済統合・通貨統合の動きがある。通貨は常に主権にかかわる問題だが、アフリカ諸国がどのような判断をするのか注目される。