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今日のアフリカ

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アフリカ大陸自由貿易圏協定に44か国が署名

2018/03/22/Thu

21日、キガリでのAU閣僚会議において、44か国がアフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area: AfCFTA)への参加に署名。交渉開始から3年足らずでこれだけの数の国々が署名したことに驚きの声が聞かれる。一方、アフリカ最大の経済規模を持つナイジェリアは、国内経済界の強い反対を受けて参加を拒否した。Financial Times紙によれば、ブハリ大統領は、「わが大陸の希望は国益と補完的でなければならない」とツィートした。アフリカ諸国の多くは域外に資源を輸出する経済構造を持ち、アフリカ域内貿易の規模は小さい。AfCFTAは域内貿易活性化を目指すものであり、方向性として間違ってはいないだろう。しかし、現在平均で6.1%の水準にある関税をゼロレベルに引き下げるという方針はドラスティックで、ナイジェリアのように国内製造業を守りたい国がこれに抵抗するのは当然予想されることである。この協定が額面通りに実施されるなら、外国からの投資が特定の国に集中し、アフリカ域内の経済格差が拡大する可能性もある。今後、署名した国々が協定をきちんと履行するのか、そしてその影響がどのような形で現れるのか、丁寧に観察する必要がある。なお、アフリカの自由貿易協定については、箭内彰子「アフリカにおける経済統合――制度的な制約要因」『アフリカレポート』No.55も参照のこと。