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今日のアフリカ

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エチオピア

2018/03/02/Fri

【エチオピア現地報告3(松波康男特任研究員)】
フィールドに入ると、過去にそこで聞かれなかったことばが、現地語として人々の間に流通していることに気付くことがある。「セーフティ・ネット」「フェイス・ブック」などはその例であり、それらはここ数年間ですっかり定着した。今回の調査では「コマンド・ポスト」という単語が、村住民の会話からよく聞かれた。
先月末、調査者のフィールドであるオロミア州A村にコマンド・ポストが配置されたため、報告者は調査を切り上げて首都に戻った。A村では、連邦兵士10名ほどが行政村役場に隣接する空き地にテントを張って拠点を構えた。村住民によれば、国家非常事態宣言が解除されるまで連邦兵士はそこに駐屯するのだと言う。同宣言下では、おそらく全国各所でこれと似たような光景が見られるのかもしれない。
さて、首都アディスに戻り現地紙に目を通すと、次期首相選出について報じる記事が多く見られた。選出のスケジュールがある程度決まったようである。某現地紙によれば、連立与党EPRDFは、3月1日から3日まで与党協議会(EPRDF Council)を開催し、同協議会において投票で次期首相を選出するという。同協議会には、EPRDFを構成する4党(TPLF、ANDM、OPDO、SEPDM:それぞれティグレ、アムハラ、オロモ、南部諸民族州の民族政党)から各45名が出席し、計180名による投票で次期首相が決められる。
有識者らに伺うと、現段階で予見はできないが、アビイェ・アフマド(OPDO)とデメケ・マコネン(ANDM)の二者が有力であるとの見方が強かった。また、TPLFが次期首相候補を党内から選出しなかったため、TPLF党員の票がANDMに流れる可能性があり、その分後者が有利かもしれないと述べていた有識者もいた。
報道によれば、今もなお、アムハラ州各所やオロミア州ネケメテなどでは激しい反政府運動が繰り広げられている。次期首相選出時、国内各地の反政府運動がどのように反応を示すのか、しばらくの間は政府および国内各地の動向に注意する必要があるだろう。(エチオピア現地報告はこれを持って終了します。)