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今日のアフリカ

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セネガルの大統領選挙延期

2024/02/06/Tue

 3日、マッキー・サル大統領は、国民向け演説で、2月25日に予定されていた大統領選挙の延期を発表した。独立以来初めての事態で、国内外に大きな衝撃が広がっている。
 事の発端は、1月20日に憲法評議会が大統領選挙立候補資格を有する20名を発表したことである。ここで資格なしと判断されたカリム・ワッド(前大統領の息子)の陣営が、憲法評議会委員のうち2名に汚職疑惑があるとして、同評議会の調査を目的とする委員会設立を提案。この提案に沿う形で、2月1日に調査委員会が設立された。そして3日、マッキー・サルは、憲法委員会委員の審査に時間が必要だとして、選挙の延期を発表したのである。
 同日以降、セネガル各都市でデモが組織されているが、治安部隊が催涙ガスなどで鎮圧している。議会では、5日から選挙を6ヶ月延期する法案の審理が準備されているが、与党のなかには1年延期を主張する者もおり、どのように決着するか見通せない状況である。
 サル大統領はもともと3選出馬に意欲があったが、国民の反対もあって2月25日選挙には不出馬を表明していた。世間の関心は次の選挙で誰が勝利するかに移行していたが、今回の選挙延期宣言によって、マッキー・サルが政治の中心に舞い戻った。
 マリ、ブルキナファソ、ニジェールなどサヘル地域の混乱が続く中で、セネガルは長く政治的安定と民主主義を享受してきた。今回の政治危機が長引けば、セネガルだけの問題にとどまらず、広く西アフリカに負の影響をもたらす恐れがある。
(武内進一)