• アクセス
  • English
  • 東京外国語大学

今日のアフリカ

今日のアフリカ

コンゴ民主共和国東部の外国部隊

2023/10/28/Sat

 10月9日、コンゴ民主共和国政府のムヤヤ(Patrick Muyaya)報道官は、東アフリカ共同体地域軍(EACRF)の任期更新をしないこと、12月8日から撤退させることを公式に発表した。東部ではEACRFを非難し撤退を求める動きが強まっており、19日には複数のNGOが共同で、ゴマのEACRF司令部に対して、撤退を要求する文書を提出した(26日付ルモンド)。
 EACRFは、2021年12月以来コンゴ東部で再び広がったM23の活動への対応として、ケニアのルト大統領のイニシャティブで展開が始まった。ケニア、アンゴラによる外交的仲介によって、M23は2022年12月にはキブンバやブナガナなどの要所から撤退し、EACRFがM23とコンゴ軍との緩衝として展開するはずだった。
 しかし、M23の撤退は一時的なものだった。3月に停戦合意が公式に結ばれたのだが、この10月初めから戦闘が再開し、特にキチャンガ周辺で激しさを増している。北キヴの戦略的重要地キチャンガは、当初M23に制圧されたが、4月以来EACが押さえてきた。しかし、10月初め現地民兵の手に渡り、その後新たにM23が制圧したという。この状況のなかで、東部の市民団体は「EACはいつものように何もしない」と非難を強めている。
 コンゴ東部には、EACRFの他にも、国連PKOのMONUSCOが展開している。MONUSCOに対する撤退要求も強く、チセケディ大統領は9月20日の国連総会演説で、今年末から撤退を開始させると述べた。一方、「南部アフリカ開発共同体」(SADC)も派兵を表明している。SADCは5月に派兵の準備があると表明したが、その日程は公式に明らかにされていない。さらに、アンゴラも、M23対応で500人の兵士を派兵すると議会で決定している。
 外国軍を展開させれば事態が好転するわけではないが、それを追い出した後に展望が開けるわけではない。アフリカでは、コンゴの他にマリでも似たようなジレンマに直面している。国際的な平和協力のあり方が、岐路に立っていると言えよう。
(武内進一)