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今日のアフリカ

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スーダン内戦とウクライナ戦争

2023/09/27/Wed

 9月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領がスーダンのブルハン議長と会談した。場所はアイルランド、シャノン空港の貴賓室であった。この会談は、ウクライナによるスーダン内戦への関与の可能性を強く示唆している(25日付けルモンド)。
 4月から続くスーダン内戦は、依然として出口が見えていない。ブルハン率いるスーダン国軍とヘメティ率いるRSFが衝突しているが、RSFに対するロシアのワグネルによる支援が指摘されている。先月にはチャド国境からトラック100台がRSF側の支配領域に入ったとの情報があり、中央アフリカ共和国北東部のワグネルの基地から武器弾薬が持ち込まれたようだ。
 最近、RSFに対するドローンを使った自爆攻撃が目立つようになり、この戦術は2022年末以降ウクライナが戦場で用いてきたものであるため、その関与が囁かれてきた。ゼレンスキーとブルハンが会談した事実は、ウクライナによるスーダン内戦への関与の可能性が相当に高いことを示していよう。
 この背景には、もとよりワグネルによるRSFへの支援がある。ウクライナとしては、ロシアによるアフリカへの浸透を阻止したい。また、ウクライナの情報総局(GUR)は、スーダン内戦勃発時に外国人民間人を手際よくエジプトに避難させ、高い評価を得た。ブルハンはRSFの進出を止める目的でウクライナの関与を求めたと見られる。
 ロシアのアフリカ浸透はしばしば指摘されるが、ウクライナも対抗措置を強めている。また、スーダンのように内戦が発生している場合、一方にロシア(ワグネル)の支援があれば、他方がウクライナの関与を求めるのは自然な流れである。こうした形で紛争の国際化が進む。
(武内進一)