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今日のアフリカ

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ボツワナ政府とデビアス社の交渉妥結

2023/07/02/Sun

 ファイナンシャルタイムズ紙(2日付)は、6月30日、ボツワナ政府とデビアス(De Beers)社の交渉が決着したと報じた。両者合弁のDebswana社の鉱業ライセンスを25年間延長し、そのダイヤモンド販売許可を新たに10年延長した。また、ボツワナ政府側に、生産されたダイヤモンドの3割を、国営企業Okavango Diamond Companyを通じて販売することを認めた。契約の最終年には、この比率を5割まで引き上げるという。
 2011年の契約では、政府側の販売比率は総生産量の25%だったから、今回の契約では前回よりボツワナ政府に有利になった。実際、ボツワナのマシシ(Mokgweetsi Masisi)政権は、条件の改善がなければ契約を更改しないという強い態度で交渉に臨んでいた。デビアス社はアングロ・アメリカン社の系列で、株式の85%を同社が所有するが、残る15%はボツワナ政府が所有している。
 デビアス社はボツワナでの生産に依存しており、昨年は総ダイヤモンド生産量2400万カラットの7割がボツワナ産だった。ボツワナもまたダイヤモンド鉱業に依存しており、同国のGDPの3分の1がダイヤモンド鉱業部門に由来する。ボツワナは1966年の独立後、ダイヤモンドに依存して経済成長を遂げ、2022年の一人あたりGDPは実質値で6500ドル(世銀による)と、アフリカ第6位の水準に達している。
 ボツワナは独立以来「ボツワナ民主党」(BDP)が政権を握る一党優位体制が敷かれてきた。民主主義に関する評価も高い国だが、来年に選挙を控えており、今回の交渉で政府側が強硬な姿勢を取った背景にも選挙への考慮があると見られる。おそらく今後も、デビアス側に対してよりよい条件を求める圧力は強まることだろう。
(武内進一)