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今日のアフリカ

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アンゴラもコンゴ民主共和国に派兵

2023/03/24/Fri

 22日付けルモンド紙によれば、アンゴラ議会は、17日、コンゴ民主共和国東部に派兵するため、500人の部隊創設を可決した。アンゴラの軍事安全保障担当大臣によれば、この部隊は「反乱勢力M23の解散、武装解除、再統合の監督」を担当する。部隊の派遣日はまだ明らかにされていない。
 コンゴ東部には100を超える武装勢力が存在するが、周辺国の部隊も数多く展開している。
東アフリカ共同体(EAC)軍の枠組みで、ケニア軍、ブルンジ軍が既に派兵され、南スーダンとウガンダからの派兵も決まっている。今回、そこにアンゴラが加わった。加えて、世界最大の国連平和維持活動MONUSCOも存在する。
 周辺国の部隊がコンゴ東部で具体的にどのような任務を負うのか、必ずしも明らかでない。コンゴのルトゥンドゥラ外相は、アンゴラ部隊が「M23を攻撃することはない」と述べている。
 東アフリカ軍については、そのマンデートで「M23および約100のコンゴ東部の反乱勢力(negative forces)に平和を強制(enforce)すること」が規定されている。ただし、これまでのところ、実際の戦闘例は多くない。ブルンジ軍が、自国の反乱勢力FNL(Force National de Libération)やRED-Tabaraと戦闘した例や、ウガンダ軍が2021年11月にADFに対して実施した軍事作戦くらいである。これらの周辺国軍は、コンゴ東部で自国の反乱勢力と戦っている(3月22日付ルモンド)。
 東部では、治安が一向に改善しないことへの不満から、反MONUSCO、反東アフリカ共同体を掲げるデモが起こっている。周辺国軍を呼んでくるだけでは、治安の改善を展望することは難しい。気にかかるのは、MONUSCOとコンゴ国軍との協働が進まないことである。2013年にコンゴ国軍はMONUSCOとの共同作戦によってM23に軍事的勝利を収めたが、近年では北キヴで両者の協働が見られなくなったと報じられている(3月22日付ルモンド)。統合的な作戦がなければ、治安対策として導入したはずの周辺国軍がさらなる秩序の分散化を招くことにもなりかねない。
(武内進一)