6日、マリで権力を握る軍のトップ、アシミ・ゴイタ大佐は、2022年7月に拘束したコートジボワールの兵士49人に対する恩赦を決定した。これらの兵士は、バマコの空港で「傭兵」だとして拘束され、その後女性兵士3名は解放されたものの、12月末に全員の有罪が宣告されていた。コートジボワール側は、これらの兵士は国連PKO部隊Minusmaのロジスティクス支援のために送られたと一貫して主張し、解放を要求していた。西アフリカの地域機構ECOWASも解放を求め、マリがこれに応じない場合は、1月から制裁を科すと表明してきた。
この問題に対しては、西アフリカ域内で活発な調停活動が行われ、1月4日にはトーゴのフォール・ニャンシンベ大統領がバマコ入りしてゴイタ大佐と会談し、恩赦を求めていた。同日、ECOWAS議長を務めるギニアビサウ大統領のウマロ・シソコ・エンバロは、すぐに制裁を科すことはないと述べていたので(5日付ルモンド)、この恩赦はシナリオ通りということだろう。
大統領による恩赦を国営テレビで発表した政府スポークスマンは、この恩赦は「平和、対話、パンアフリカ主義、地域諸国、特にコートジボワールとの平和的関係維持」の意図の表明だと述べた(7日付ファイナンシャルタイムズ)。
ここまで事態が切迫する前に、同じ決断ができなかったのかという気はする。とはいえ、政治危機が起こったときに、周辺国の指導者や地域機関が様々な形で関与し、緊張緩和へと導くやり方はアフリカでよく見られる。近年の西アフリカの政治危機やコンゴ民主共和国の紛争でも、地域機構や周辺諸国が様々な形で関与している。これが意味するところを考えるのは、重要だと思う。
(武内進一)